Heat Audioと語るオールドスクール・レイヴ
今回お話を伺うのは、ノルウェー出身の著名なサウンドデザイナーであり、エレクトロニック・ミュージシャンでもあるThermal、またの名をHeat Audio。Heat AudioにはPalettes向けのオールドスクール・レイヴパック「:)」の制作を依頼した。彼の音楽的な影響、トラッカーでの音楽制作経験、そして愛用のベースマシンについて、詳しく話を聞いた。
サウンドデザインに興味を持つようになったきっかけは何ですか?特定の出来事や、心に響いた音楽ジャンルなどがあったのでしょうか?
MODが再生に使われるのと同じソフトウェアで作られていると気づいてから、エレクトロニック・ミュージックの中に広がる音の世界に驚かされ続けている。中学の友人がScream Tracker 3とFast Tracker 2を所有していたことがきっかけで、すぐにMac向けの代替ソフトを雑誌やインターネットで探し始めた。そして1996年、Fast Tracker 2(XM)形式で書き出せる、ふざけた名前のPlayerProを使って、自分なりの苦心作を作り始めた。
MODシーン、あるいはデモシーン全体には、かなりの多様性があった。みんなhip-hop、gabber、jungleなどを作っていたが、大半はデモやゲームサウンドトラック風の音楽だった。フィンランドのFuture Crewは、自分にとって元祖的な存在だった。
MODやXMのような派生フォーマットの美点は、それぞれの曲が元となる生のサンプルをそのまま含んでいる点にある。おかげで、他人のトラックから気に入った音を拝借し、それを素材にした基本的なサウンドデザインに気軽に手を出すことができた。トラッカーソフト自体でのピッチ変更、クリッピング、サンプルのループ処理などに加えて、ピッチベンド・エンベロープを描いたり、音にエフェクトをかけたりできるオーディオエディターもいくつか持っていた。その結果をトラッカーに読み込み直して、シーケンスすることもできた。MOD時代の終わりには、Propellerheads Rebirthも持っていて、そこから303のリフやドラムサウンドを書き出していた。
約3年後、PlayerProを離れ、代わりにMOTU VisionDSPを使い始めた。これはLogicやCubaseによく似たソフトだった。プラグインまで搭載されていたが、自分のコンピューターでは動かすことができなかった。この頃から音楽制作用のハードウェアを買い集めるようになり、最初はRoland Alpha Juno-1とAkai S1000、続いてRoland JD-990と、次々に増えていった。もともと道具の仕組みを自分で理解したいという性分だったこともあり、プリセットに頼るよりも自分で音を作る方が自然な流れで、それは今もほとんど変わっていない。
特定のアルバムや、あるいは特定のサウンドが、サウンドの仕事をしようと決意するきっかけになったことはありますか?
むしろ、エレクトロニック・ミュージック全般に触れてきたことの方が大きい。でも、地元の楽器店のショールームにYamaha DJXが置かれていて、「あの」サウンドを発見した瞬間のことは今でも鮮明に覚えている。フィルター・カットオフ・ノブの発見は、まさに人生を変える体験だった。それまではTechnicsのホームキーボードでトレブルを上げてあの音を出そうとしていたが、まったく違った!すぐにTechnicsを手放し、代わりにAlpha Junoを購入した。
とはいえ、The ProdigyとThe Chemical Brothersは、当時も今も自分のサウンドに多大な影響を与え続けている。The Fat of the Landは、生々しいエレクトロニック・ミュージックの頂点だと個人的には思っている――サウンドセレクションとエンジニアリングは度肝を抜かれるレベルなだけでなく、音楽的なまとまりも見事だ。Howlettには誰も敵わない!
自分のサウンドは、ある特定の方向性を目指した意識的な取り組みの結果だと思いますか、それとも自然とこうなっていったのでしょうか?
意識的な取り組みは間違いなく多い。でも同時に、何度も自分自身と格闘し、思い描いていたのとは違う音になってしまうときに、それに気づくこともある。たとえば、どうしても自分には馴染まないと認めざるを得ない音楽スタイルもある。努力すること自体には価値があるが、同じ壁にいつまでも頭を打ち付け続けるのは、必ずしも得策ではないのかもしれない。

サウンドデザインでお気に入りのツールは何ですか?ハードウェアでもソフトウェアでも、これだけは欠かせないというものはありますか?
お気に入りは、自分が最初に使い始めたのと同じ道具――個性的なサンプラーと、シンプルな減算方式のシンセサイザーだ。機能が豊富なのはクールだけど、コアとなる音がしっかり使える音であれば、凝った機能はたいてい不要だし、むしろ邪魔になることさえある。オールドスクールなサウンドを狙うときは特にそうだ。
Novation Bass Station 2は大のお気に入りで、個人的には予算重視のアナログ・モノシンセの中では最強だと思っている。幅広いサウンドを作ることができ、長い間メインのモノシンセとして活躍してくれた。最近はEurorackのモジュラーシステムにハマっているけれど、Bass Station 2は手放すつもりはない。
宣伝失礼:BS2用のプリセットバンク「Subs & Gnarls」を制作した。https://heataudio.bandcamp.com/ で入手可能。
とはいえ、コンピューターさえあれば、サウンドデザイン用の機材で絶対に欠かせないものなんてない。
ソフトウェア面では、Logic Proがメインの相棒だ。今のお気に入りのプラグインはおそらくCableguys Shaperbox 3で、サウンドデザインの作業にもミックスにも重宝している。
サウンドデザイン以外に好きなことはありますか?両者に共通点は感じますか?
現在は、UKのプロデューサーVolatile Stateと一緒に、アトモスフェリックなJungleミュージックを作るのを心から楽しんでいる。Rogue Toneという名義で、今年後半にOut of Romford Recordsからのリリースを予定している。音楽制作とサウンドデザインは互いに刺激し合っていて、自分はelectroやnuskool breaksにも夢中だけど、Volatile Stateとのタッグは、最近よりoldskoolなサウンドを作るきっかけに間違いなくなっている。
それ以外だと、体を動かすのが好きだ。サウンドデザインとの共通点があるかどうかはわからないけれど、精神的にも肉体的にもバランスを整えるのに大いに役立っている。音や音楽を作っているときは、常に頭の中で考え続けている状態になるので、体に意識を向ける必要のあることをするのは良いことだと思う。そうすれば、クリエイティブなエネルギーを充電し直してスタジオに戻ってこられる。

Heat Audioの作品はこちらでもチェックできる:
サンプルとプリセット:
Heat Audio bandcamp
Splice: D&B Textures volumes 1 と2
Martinic: AX73 factory presets そして Strata expansion
